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糸島市立てこもり事件:自称医師がナイフで保護者を脅し、クリニックに3時間半立てこもる

福岡県糸島市で27日夜に起きた立てこもり事件で、警察は28日未明、建物に突入し、公務執行妨害の疑いで自称医師の男を現行犯逮捕した。男は建物の1階にあるクリニックの関係者とみられている。この事件で、ナイフを突きつけられた保護者を含め、けが人の情報はなかった。

事件の経緯

事件は27日午後9時半ごろ、糸島市波多江駅北4丁目にある学習塾の駐車場で発生した。塾にいた子どもを迎えに来ていた保護者の女性に、自称医師の前田隆一郎容疑者(50)が刃渡り約11センチのナイフを突きつけたという。女性は驚いて逃げ出し、塾の講師が110番通報した。

前田容疑者はその後、塾と同じ建物にある自身の勤務先とみられるクリニックに1人で立てこもった。建物の1階にはクリニック、2階には学習塾があり、塾には8人ほどの生徒がいたという。警察が到着すると、生徒たちは無事に外に出ることができた。

警察は周辺の国道202号を通行止めにし、建物の周りを取り囲んだ。前田容疑者は警察官の呼びかけに応じず、激しい怒号を発していたという。警察は閃光弾やガスなどを使って前田容疑者を制圧する準備を進めた。

通報からおよそ3時間半後の28日午前1時ごろ、警察官が建物に突入した。閃光弾の爆発音とともに、警察官が一斉にクリニック内に入った。前田容疑者は刃物で警察官を脅したとして公務執行妨害の現行犯で逮捕された。現場からは刃物やガスボンベなどが押収された。

容疑者の動機や背景

前田容疑者はクリニックで働く自称医師だったが、医師免許を持っていなかったことが判明した。クリニックでは主に鍼灸やマッサージなどを行っていたという。クリニックの院長は前田容疑者と同居しており、事件当時は外出していた。

前田容疑者は逮捕後、「刃物をつきつけたのは私がやったことかもしれません。疲れて覚えていない」と供述しているという。動機や背景については明らかにしていない。警察は前田容疑者の精神状態や事件前後の行動などを詳しく調べることにしている。

事件への反応

事件現場はJR波多江駅から北へ約160メートルの住宅街である。多くの警察官や車両が出動し、周辺は騒然とした。現場近くに住む住民や店員らは「爆発音や叫び声が聞こえて怖かった」「こんな平和な街でこんな事件が起きるなんて信じられない」「子どもや保護者が巻き込まれなくてよかった」と話した。

一方、ネット上では「医師免許も持っていない人がクリニックで働いているなんて信じられない」「保健所や厚生労働省は何をしているんだ」「医師免許不正取得問題と同じくらい深刻だ」「被害者や関係者にお見舞い申し上げます」というコメントが多く見られた。

まとめ

福岡県糸島市で起きた立てこもり事件では、自称医師の男がナイフで保護者を脅し、クリニックに3時間半立てこもった。警察は閃光弾などを使って突入し、男を公務執行妨害の現行犯で逮捕した。男は医師免許を持っておらず、動機や背景は不明だった。この事件によりけが人は出なかったが、現場周辺では大きな騒動となった。