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2023年カンヌ国際映画祭レポート

パルムドールはフランス映画「Anatomy of a Fall」
2023年5月16日から27日まで開催された第76回カンヌ国際映画祭では、24本の作品がコンペティション部門に出品されました。
その中から最高賞パルムドールを受賞したのはフランス映画「Anatomy of a Fall(英題)」でした。
この作品はジュスティーヌ・トリエ監督がメガホンを取り、不審死を遂げた夫の殺害を疑われる女性サンドラとその息子アントニーという親子関係を描いたサスペンスです。
サンドラ役は「ありがとう、トニー」という曲で知られる歌手エマニュエルさんが演じました。

授賞式ではトリエ監督とエマニュエルさんが喜びを分かち合いました。トリエ監督は「この作品は私自身と私にとって大切な人たちの物語です。私はサンドラのように夫を亡くしたことがあります。そのとき、私は息子と一緒に生きていくことを決めました。この映画は、そんな私たちの絆を表現したものです」と語りました。エマニュエルさんは「サンドラは強くて優しい女性です。彼女は不幸な状況にあっても、愛する息子のために戦います。彼女に共感する人は多いと思います」とコメントしました。

「Anatomy of a Fall」は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したフランス映画としては、「ブルー・イズ・ザ・ウォームエスト・カラー」以来8年ぶりの快挙です。この作品は、日本では2023年秋に公開予定です。

日本映画も受賞ラッシュ
カンヌ国際映画祭では、日本映画も受賞ラッシュを起こしました。コンペティション部門で男優賞を受賞したのは「Perfect Days(英題)」に主演した役所広司さんでした。この作品はヴィム・ヴェンダース監督がメガホンを取り、東京・渋谷の公共トイレを舞台にした作品です。役所さんは、トイレに閉じ込められた男性を演じました。

授賞式では役所さんは「この作品は非常に挑戦的でした。トイレという狭い空間で、さまざまな感情を表現することが求められました。ヴェンダース監督に感謝します」と感謝の言葉を述べました。ヴェンダース監督は「役所さんは素晴らしい俳優です。彼はトイレの中で一人芝居をすることで、観客に深い印象を与えました」と称賛しました。

「Perfect Days」は、日本人俳優の男優賞受賞としては柳楽優弥さん以来19年ぶりの快挙です。この作品は、日本では2023年冬に公開予定です。

また、コンペティション部門で脚本賞を受賞したのは是枝裕和監督の「怪物(インターナショナルタイトル:MONSTER)」でした。この作品は坂元裕二さんが脚本を手がけ、2人の少年たちの姿を描いた作品です。一人は殺人事件の容疑者として逮捕された少年であり、もう一人はその少年に興味を持った少年です。

授賞式では是枝監督と坂元さんが喜びを分かち合いました。是枝監督は「この作品は少年たちの心理や社会への問題提起を描きたかったです。坂元さんに感謝します」と語りました。坂元さんは「是枝監督と一緒に仕事ができて光栄です。彼は私の脚本を見事に映像化してくれました」とコメントしました。

「怪物」は、日本映画の脚本賞受賞としては前回「ドライブ・マイ・カー」以来2年ぶりの快挙です。この作品は、日本では2023年夏に公開予定です。

カンヌ・プレミア部門では北野武監督の新作が選出
カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門以外にもさまざまな部門があります。その中の一つがカンヌ・プレミア部門です。この部門は、カンヌ国際映画祭で過去にパルムドールやグランプリなどを受賞した監督たちの新作を上映する部門です。

今年のカンヌ・プレミア部門では、北野武監督6年ぶりの新作「首(KUBI)」が選出されました。この作品は江戸時代末期を舞台にした時代劇であり、主演は岡田准一さんです。岡田さんは、幕府に反逆した武士の首を狙う刺客を演じました。

上映後に行われた記者会見では、北野監督と岡田さんが登壇しました。北野監督は「この作品は私が子供の頃に見た時代劇に影響を受けて作りました。時代劇は日本の伝統的なジャンルですが、現代的な要素も取り入れました」と語りました。岡田さんは「北野監督と一緒に仕事ができて嬉しかったです。彼は私に厳しくも優しくも指導してくれました」と感想を述べました。

「首」は、北野監督のカンヌ国際映画祭での出品作としては、「アウトレイジ 最終章」以来6年ぶりです。この作品は、日本では2023年秋に公開予定です。

アウト・オブ・コンペティション部門では話題作が上映
カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門以外にもさまざまな部門があります。その中の一つがアウト・オブ・コンペティション部門です。この部門は、コンペティション部門に出品されなかったものの、注目度や芸術性が高い作品を上映する部門です。

今年のアウト・オブ・コンペティション部門では、ジェームズ・マンゴールド監督の「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」やマーティン・スコセッシ監督の「Killers of the Flower Moon」など話題作が上映されました。「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」は、人気シリーズの第5作目であり、主演はハリソン・フォードさんです。「Killers of the Flower Moon」は、デビッド・グラナン著の同名小説を原作とした作品であり、主演はレオナルド・ディカプリオさんとロバート・デ・ニーロさんです。

上映後に行われた記者会見では、マンゴールド監督とフォードさん、スコセッシ監督とディカプリオさんとデ・ニーロさんが登壇しました。マンゴールド監督は「この作品はインディ・ジョーンズシリーズのファンに向けて作りました。インディ・ジョーンズは私にとっても大好きなキャラクターです」と語りました。フォードさんは「この作品でインディ・ジョーンズを演じることができて光栄です。彼は私の人生に大きな影響を与えてくれました」とコメントしました。

スコセッシ監督は「この作品はアメリカ史における重要な事件を描いたものです。私はこの事件について知ってほしいと思いました」と語りました。ディカプリオさんとデ・ニーロさんは「スコセッシ監督と一緒に仕事ができて嬉しかったです。彼は私たちに素晴らしい役を与えてくれました」と感謝の言葉を述べました。

「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」と「Killers of the Flower Moon」は、それぞれ日本では2023年夏と冬に公開予定です。

ミッドナイト・スクリーニング部門では恐怖映画が上映
カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門以外にもさまざまな部門があります。その中の一つがミッドナイト・スクリーニング部門です。この部門は、深夜に上映される恐怖映画やアクション映画などの作品を上映する部門です。

今年のミッドナイト・スクリーニング部門では、ロバート・ロドリゲス監督の「Hypnotic」やキム・ジウン監督の「거미집(COBWEB)」など恐怖映画が上映されました。「Hypnotic」は、催眠術師によって殺人鬼に仕立てられた男性の逃亡劇を描いた作品であり、主演はベン・アフレックさんです。「거미집(COBWEB)」は、謎の家に迷い込んだ一家が恐ろしい事態に巻き込まれる作品であり、主演はソン・ガンホさんとキム・ヘスさんです。

上映後に行われた記者会見では、ロドリゲス監督とアフレックさん、キム・ジウン監督とソン・ガンホさんとキム・ヘスさんが登壇しました。ロドリゲス監督は「この作品は私が好きなサイコスリラーのジャンルです。観客に緊張感と驚きを与えたかったです」と語りました。アフレックさんは「この作品で催眠術師に操られる役を演じることができて楽しかったです。ロドリゲス監督は私に自由に演技させてくれました」とコメントしました。

キム・ジウン監督は「この作品は私が子供の頃に見た韓国の伝統的な怪談にインスピレーションを得て作りました。家族というテーマを取り入れました」と語りました。ソン・ガンホさんとキム・ヘスさんは「キム・ジウン監督と一緒に仕事ができて嬉しかったです。彼は私たちに恐怖と感動を味わわせてくれました」と感想を述べました。

「Hypnotic」と「거미집(COBWEB)」は、それぞれ日本では2023年秋と冬に公開予定です。

スペシャル・スクリーニング部門では実験的な作品が上映
カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門以外にもさまざまな部門があります。その中の一つがスペシャル・スクリーニング部門です。この部門は、芸術的な表現や社会的なメッセージが強い作品を上映する部門です。

今年のスペシャル・スクリーニング部門では、スティーブ・マックイーン監督の「Occupied City」やキム・テゴン監督の「Project Silence」など実験的な作品が上映されました。「Occupied City」は、第二次世界大戦中のパリを舞台にしたドキュメンタリーであり、ナチス占領下の市民たちの生活や抵抗運動を描いた作品です。「Project Silence」は、北朝鮮から脱出した女性たちの声を録音した音声データをもとにした作品であり、観客にヘッドフォンを装着して聴くことで彼女たちの体験や感情を共有することを試みた作品です。

上映後に行われた記者会見では、マックイーン監督とキム・テゴン監督が登壇しました。マックイーン監督は「この作品は歴史的な事実を伝えることが目的です。パリの占領は多くの人々に影響を与えました。私はその人々の声や姿を忘れないようにしたかったです」と語りました。キム・テゴン監督は「この作品は北朝鮮から逃れた女性たちの声を聞くことが目的です。彼女たちは多くの苦難や危険に直面しました。私はその声を世界に届けることで彼女たちへの支援や連帯を促したかったです」とコメントしました。

「Occupied City」と「Project Silence」は、それぞれ日本では2023年秋と冬に公開予定です。

以上が2023年カンヌ国際映画祭のレポートでした。カンヌ国際映画祭は毎年5月に開催される世界最高峰の映画祭です。多くの名作や話題作が上映されるほか、セレブリティや監督たちの姿も見られます。カンヌ国際映画祭で上映された作品は日本でも公開されることが多いので、ぜひチェックしてみてください。