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ルカシェンコ大統領の健康状態に不安の声が高まる

ルカシェンコ大統領の健康状態に不安の声が高まる

ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアのプーチン大統領との会談後に重篤な状態でモスクワの病院に運ばれたという噂が流れている。ルカシェンコ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻を支援する盟友であり、ヨーロッパ最後の独裁者と呼ばれる人物だ。彼の健康状態が悪化すれば、ベラルーシやウクライナ、ロシアなどの地域情勢に大きな影響を及ぼす可能性がある。

健康不安説の発端

健康不安説の発端は、5月27日にベラルーシの反対派指導者の一人であるワレリー・ツェプカロ氏がSNSで投稿したものだ。ツェプカロ氏は、ルカシェンコ氏が5月9日にモスクワで行われた戦勝記念日の式典に出席した際、プーチン氏などとの食事会には参加せず、その後重篤な状態でモスクワの病院に運ばれたと主張した。また、ルカシェンコ氏は5月14日にベラルーシで行われた式典も欠席し、その理由は「風邪」と説明されたという。

大統領府は否定

これに対して、ベラルーシ大統領府は健康不安説を否定し、ルカシェンコ氏が5月15日に空軍の中央司令部を視察したと発表した。大統領府は、軍の幹部と対話する映像や写真も公開し、体調不良ではないことをアピールした。映像では、左手首に包帯のようなものが巻かれていることが確認できるが、それ以外に異常は見られなかった。

しかし不安は消えず

しかし、健康不安説は完全に消えたわけではない。5月29日には、大統領府がルカシェンコ氏がロシア中央銀行のナビウリナ総裁と会談したと発表したが、その写真や動画は公開されなかった。また、会談はベラルーシの首都ミンスクで行われたとされるが、その場所や時間も明らかにされなかった。これらの事実から、一部ではルカシェンコ氏が実際に会談したかどうか疑問視する声も上がっている。

ルカシェンコ氏の影響力

ルカシェンコ氏は1994年からベラルーシ大統領を務めており、2020年8月に行われた選挙では80.2%の得票率で6選を果たしたと発表された。しかし、この選挙は不正選挙だとして国内外から批判を受けた。選挙後から数か月間にわたって、反政府デモが続き、数千人が逮捕されたり暴力を受けたりした。ルカシェンコ氏はデモ隊を弾圧する一方で、ロシアや中国などから支援を求めている。

ルカシェンコ氏はまた、ロシア・ベラルーシ連邦国家の初代最高国家会議議長でもある。この連邦国家は1999年にロシアとベラルーシが調印した条約に基づいて設立されたものであるが、実質的な統合は進んでいない。しかし、ロシアはウクライナへの侵攻を続ける中で、ベラルーシを自国の勢力圏内に置くことを強く望んでおり、ルカシェンコ氏もこれに協力してきた。その一方で、ルカシェンコ氏は自国の主権や利益を守るためにロシアと距離を置くこともあり、両国間の関係は安定しているとは言えない。

今後どうなるか

ルカシェンコ氏の健康状態が悪化すれば、ベラルーシや周辺国への影響は計り知れない。ルカシェンコ氏に代わる後継者や政治体制が明確ではなく、混乱や紛争が起こる可能性もある。また、ロシアはこの機会にベラルーシへの介入や吸収合併を図ろうとするかもしれない。一方で欧米諸国や反政府勢力は民主化や自由化を促すだろう。ルカシェンコ氏が今後どう動くかによって、地域情勢や国際関係が大きく変わる可能性がある。

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