岸田首相の長男・翔太郎秘書官が辞職へ 公邸で親族と忘年会開催が発覚
岸田文雄首相の長男である岸田翔太郎首相秘書官(32歳)が6月1日付で辞職することが政府から発表されました。翔太郎氏は昨年末に首相公邸で親族と忘年会を開催し、赤じゅうたんが敷かれた階段で新閣僚が並ぶ様子を模したような写真などを撮影していたことが週刊誌『文春オンライン』の報道で明らかになっていました。この行動は公的立場にある政務秘書官として不適切であり、与野党から批判を浴びていました。
公邸忘年会問題の経緯
『文春オンライン』は5月24日に「岸田首相長男・翔太郎秘書官が公邸で“悪ノリ撮影” 赤じゅうたんの上で寝そべる親戚も」という記事を掲載しました。この記事では、翔太郎氏が2020年12月30日に首相公邸で親族約10人と忘年会を開催し、赤じゅうたんが敷かれた階段や玄関ホールなどで記念撮影をしていたことを写真付きで報じています。その中には、翔太郎氏の従兄弟が赤じゅうたんの上に寝そべってポーズを取っている写真や、翔太郎氏が組閣時の記念撮影風に親族を並べて撮影した写真も含まれていました。
この記事はネット上でも大きな反響を呼びました。多くのユーザーからは、「公邸は国民の財産だ」「首相の子どもだからという甘えだ」「コロナ禍で他人と会わないよう呼びかけておきながら自分は親族とパーティーか」「政治家としての自覚や品格が欠如している」といった批判的なコメントが寄せられました。
岸田首相の対応
岸田首相は5月25日の記者会見で、この問題について言及しました。首相は「本人から事実関係を聞き、厳しく注意した」と述べましたが、「政務秘書官として不適切だった」と認める一方、「更迭や処分については考えていない」と否定しました。また、「本人も反省しており、今後このようなことが起こらないよう指導する」と付け加えました。
しかし、この対応は与野党から不満や不信感を招きました。立憲民主党や共産党など野党側からは、「更迭すべきだ」「厳重注意では済まされない」「国民から信頼される内閣ではない」という声が上がりました。一方、自民党や公明党など与党側からも、「不適切だった」「国民感情に配慮すべきだ」「内閣支持率に影響する」という懸念や批判が出されました。
翔太郎秘書官の辞職
岸田首相は5月29日夕方、首相官邸で記者団に対し、翔太郎氏を6月1日付で交代させることを発表しました。これは事実上の更迭です。後任には、昨年10月に翔太郎氏と交代した山本高義氏(51歳)が復帰します。
首相は「公邸の公的なスペースにおける昨年の行動が公的立場にある政務秘書官として不適切であり、けじめをつけるため交代させることとした」と説明しました。また、「任命責任は私自身にあり、重く受け止めている」と言明しました。
首相は交代のタイミングについて、「地元との調整業務が一段落したことから、このタイミングとした」と述べました。地元とは広島県です。岸田首相は5月26日から28日まで広島県内で主要7カ国(G7)外務・開発担当閣僚会合(G7広島サミット)の議長役を務めていました。
国民からの評価
岸田内閣の支持率はこの問題の影響もあり、下落傾向にあります。日本経済新聞社とテレビ東京が5月26日から28日まで行った世論調査では、支持率は47%と4月の前回調査から5ポイント下がりました。また、翔太郎氏の行動について「不適切だ」と答えた人は75%に上りました。一方、「適切だ」と答えた人はわずか6%でした。
岸田首相の長男・翔太郎秘書官が辞職することになった公邸忘年会問題は、首相の家族や親族に対する国民の目や期待が厳しいことを示しています。首相は今後、国民の信頼を回復するために、政治的な判断力やリーダーシップを発揮する必要があります。