自衛隊に破壊措置命令、北朝鮮の軍事衛星打ち上げに備える
北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げに向けて最終準備を急いでいるという情報が入ってきました。これに対し、日本政府は一部が日本国内に落下する可能性があるとして、自衛隊に対し、弾道ミサイルなどに対する破壊措置の準備命令を出しました。これは、2016年2月以来、5年ぶりのことです。
北朝鮮の軍事衛星とは
北朝鮮は、初の軍事偵察衛星が完成したとして打ち上げに向けて最終準備を急いでいると発表しました。この衛星は、北朝鮮の核・ミサイル開発や南北関係などに関する情報を収集することが目的だとされています。
しかし、国際社会は、この衛星打ち上げは事実上の長距離弾道ミサイル発射であり、北朝鮮に対し弾道ミサイル技術を使った発射を禁じた国連安全保障理事会の決議に違反すると見ています。北朝鮮は2012年と2016年にも「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射しましたが、その度に国際社会から非難されました。
自衛隊の破壊措置とは
自衛隊の破壊措置とは、日本国内や周辺海域に落下する可能性がある弾道ミサイルなどを迎撃することです。これは、日本国憲法第9条の下で行われる自衛権の行使であり、攻撃ではありません。
自衛隊は、迎撃ミサイルや高性能レーダーを持つ部隊を沖縄県内や首都圏などに展開し、弾道ミサイルなどの発射や飛行経路を監視しています。もし日本国内や周辺海域に落下する恐れがある場合は、首相や防衛大臣などの承認を得て、迎撃ミサイルを発射します。
自衛隊はこれまでにも何度か破壊措置の準備命令を受けていますが、実際に迎撃ミサイルを発射したことはありません。これは、弾道ミサイルなどが日本国内や周辺海域に落下しなかったためです。
日本政府の対応と見通し
日本政府は、北朝鮮の軍事衛星打ち上げに強く反対し、中止を求めています。また、米国や韓国などと連携して情報収集や分析を行っています。
日本政府は、北朝鮮が軍事衛星打ち上げを強行すれば、国連安全保障理事会で新たな制裁決議を採択するよう働きかける方針です。しかし、中国やロシアなどが反対する可能性もあります。
一方で、日本政府は、北朝鮮との対話も重視しています。特に拉致問題や核・ミサイル問題などで進展が見られない中で、板門店宣言や平壌共同宣言などで合意された南北協力プロジェクトへの参加などを通じて関係改善を図ることも視野に入れています。
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