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インクルージョンとは?ダイバーシティとの違いやメリットを知ろう

インクルージョンという言葉を聞いたことはありますか?インクルージョンとは、直訳すると「包括」「包含」「包摂」という意味で、ビジネスにおいては、企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態を指します¹²。

インクルージョンは、社会的に弱い立場にある人々を社会から排除しないという理念に基づいています。そのルーツは、フランスやヨーロッパでの社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)という問題に対する対策として生まれたソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)にあります³⁵。

インクルージョンは、教育分野でも重要な概念となっています。特に障害児教育では、障害児が通常学級で健常児と共に学ぶインクルーシブ教育(インクルージョン教育)が推進されています⁴⁶。インクルーシブ教育は、障害児だけでなく、貧困やジェンダーなどの多様な属性を持つ子どもたちにも公平な教育機会を提供することを目指しています⁷。

インクルージョンは、ダイバーシティという言葉とセットで語られることが多いです。ダイバーシティとは、直訳すると「多様性」という意味で、ビジネスにおいては多様な人材を活かすことを指します¹²。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、企業経営の重要な戦略として注目されています。

では、インクルージョンを推進することにはどんなメリットがあるのでしょうか?また、どんな課題や施策が必要なのでしょうか?それらについて見ていきましょう。

インクルージョン推進のメリット

インクルージョンを推進することには、以下のようなメリットがあります。

  • 従業員の満足度やモチベーションが高まり、生産性やパフォーマンスが向上する
  • 多様な視点やアイデアが生まれ、イノベーションや競争力が高まる
  • 人材の獲得や定着率が向上し、人材不足や離職率の低減につながる
  • 顧客や社会のニーズに応えることができ、ブランドイメージや信頼性が向上する
  • コンプライアンスやリスク管理に対応することができ、法令遵守や社会的責任を果たす

インクルージョン実現への課題

インクルージョンを実現するためには、以下のような課題に取り組む必要があります。

  • 経営層やリーダー層のインクルージョンへの理解とコミットメントを得る
  • 組織文化や制度を見直し、多様性を受け入れる風土を作る
  • 従業員の意識や行動を変えるための研修や啓発活動を実施する
  • 個々のニーズに応じた合理的配慮や支援を提供する
  • インクルージョンの効果や進捗を定期的に評価し、改善策を講じる

インクルージョン施策の事例

インクルージョンを推進するための施策は、企業によってさまざまです。ここでは、大手企業の取り組み事例を紹介します。

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社は、建設業界で初めてダイバーシティ&インクルージョン推進部門を設置しました。同社では、以下のような施策を実施しています。

  • 女性社員のキャリア形成や活躍促進のための研修やメンタリング制度
  • 障害者雇用率の向上や障害者支援センターの設置
  • 多様な働き方を支援するための在宅勤務制度や時短勤務制度
  • LGBTなどセクシュアル・マイノリティへの理解と配慮を高めるための研修や啓発活動

江崎グリコ株式会社

江崎グリコ株式会社は、食品業界で初めてダイバーシティ&インクルージョン推進部門を設置しました。同社では、以下のような施策を実施しています。

  • 人種や国籍、文化など多様なバックグラウンドを持つ人材の採用や育成
  • 女性社員のキャリア形成や活躍促進のための研修やメンタリング制度
  • 障害者雇用率の向上や障害者支援センターの設置
  • LGBTなどセクシュアル・マイノリティへの理解と配慮を高めるための研修や啓発活動

ICT活用によるインクルージョンの推進

インクルージョンを推進するためには、ICT(情報通信技術)の活用も有効です。ICTは、以下のようなメリットをもたらします。

  • 時間や場所にとらわれずに働くことができる
  • コミュニケーションやコラボレーションのツールとして利用できる
  • 学習や情報収集の機会を増やすことができる
  • 障害や障壁を克服するための支援技術として利用できる

ICTは、特に女性や高齢者、障害者など、これまで社会的に不利な立場にあった人々のインクルージョンに寄与する可能性があります。例えば、以下のような事例があります。

  • テレワークやフレックスタイム制度などを導入することで、育児や介護などの家庭の事情により働き方に制約がある女性や高齢者が、自分のライフスタイルに合わせて働くことができる
  • ソーシャルメディアやオンラインコミュニティなどを利用することで、地域や交通の問題により社会的孤立に陥りやすい高齢者や障害者が、仲間や支援者とつながりを持つことができる
  • オンライン教育やMOOCs(Massive Open Online Courses)などを利用することで、学校や教育機関へのアクセスが困難な女性や高齢者、障害者が、自分の興味や目的に応じて学ぶことができる
  • 音声認識や音声合成、画像認識などの技術を利用することで、視覚や聴覚などに障害がある人々が、情報を入力したり出力したりすることができる

まとめ

インクルージョンとは、多様な人々が社会に参画し、それぞれの個性や能力が認められ活かされている状態です。インクルージョンを推進することは、個人や組織、社会全体にとって多くのメリットをもたらします。しかし、インクルージョンを実現するためには、経営層やリーダー層の理解とコミットメント、組織文化や制度の見直し、従業員の意識や行動の変化など、様々な課題に取り組む必要があります。ICTは、インクルージョンを推進するための有効なツールとして活用できます。ICTは、時間や場所にとらわれずに働くことができるだけでなく、コミュニケーションやコラボレーション、学習や情報収集、障害や障壁の克服など、多様な社会活動を支援することができます。ICTは、特に女性や高齢者、障害者など、これまで社会的に不利な立場にあった人々のインクルージョンに寄与する可能性があります。

インクルージョンは、人口減少時代における我が国の持続的成長のために欠かせない要素です。ICTを活用して、多様な人々が互いに尊重し合い、協力し合い、共に創造する社会を目指しましょう。

出典

¹: ダイバーシティ&インクルージョンとは? | ダイバーシティ&インクルージョン推進協議会 https://www.dandipromotion.jp/about/
²: ダイバーシティ&インクルージョンとは? | ダイバーシティ・マネジメント協会 https://www.dma.or.jp/about/
³: インクルージョン - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3
: インクルーシブ教育 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%96%E6%95%99%E8%82%B2
: 社会的包摂 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E5%8C%85%E6%91%A4
: 特別支援教育 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%95%99%E8%82%B2
: インクルーシブ教育とは? | 国連教育科学文化機関(ユネスコ)日本委員会 https://www.unesco.or.jp/education/inclusive/