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宇宙旅行が気軽に行ける?今後の展望と注意点

2021年は、宇宙旅行の歴史にとって画期的な年となりました。世界の富豪たちが次々と宇宙へ飛び立ち、民間人も手軽に宇宙を体験できるようになる未来が見えてきました。しかし、本当に誰でも気軽に宇宙旅行できるようになるのでしょうか?今回は、宇宙旅行の現状と今後の展望、そして注意点についてお伝えします。

宇宙旅行の現状

現在、宇宙旅行を提供している企業は主に4社あります。

  • ヴァージン・ギャラクティック・・・宇宙空間体験旅行(約45万ドル/約5,100万円)
  • ブルーオリジン・・・宇宙空間体験旅行(約20万ドル/2,200万円)
  • スペースX・・・国際宇宙ステーションの滞在旅行(5,500万ドル/約62億円)
  • スペース・アドベンチャーズ・・・国際宇宙ステーションの滞在旅行(3,700万ドル/約42億円)

これらの企業は、それぞれ異なるプランや技術で、民間人を宇宙へ連れて行こうとしています。2021年7月には、ヴァージン・ギャラクティックの創業者リチャード・ブランソン氏とブルーオリジンの創業者ジェフ・ベゾス氏が自らの開発したロケットで、高度100km以上のカーマン・ラインを超える弾道飛行を成功させました。この飛行では、数分間の無重力体験や地球の美しい姿を眺めることができます。

また、同年9月には、スペースXが初めて民間人だけで構成された乗組員を地球周回軌道へ送り込みました。この飛行では、3日間の滞在中に高度575kmまで到達し、国際宇宙ステーション(ISS)よりも高い位置から地球を見下ろすことができました。

これらの飛行は、民間人が自分の財力や目的に応じて、様々な形で宇宙を楽しめることを示しています。しかし、まだまだ高額で一部の富裕層しか手が届かないものです。一般人が気軽に参加できるようになるためには、どんな課題があるのでしょうか?

宇宙旅行の今後の展望

民間人が気軽に宇宙旅行できるようになるためには、主に2つの要素が必要です。一つは安全性、もう一つはコストです。

安全性に関しては、これまでの飛行では大きな事故やトラブルは発生していませんが、それでもリスクはゼロではありません。特に弾道飛行では、打ち上げ時や再突入時にかかる加速度や温度が非常に高くなります。また、地球周回軌道では、軌道上のスペースデブリ(人工衛星やロケットの破片など)と衝突する危険性もあります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、技術的な改良や安全基準の策定などが必要です。

コストに関しては、現在でも数千万円から数十億円という値段ですから、普通のサラリーマンや学生には夢物語です。しかし、近い将来この値段が下がってくる可能性は十分あります。その理由は以下の通りです。

  • 需要が増えること:現在でも多くの人が宇宙旅行への関心や希望を持っています。特に若い世代や新興国では、将来的に自分も宇宙へ行きたいと思っている人が多いです。また、科学教育や研究目的で宇宙へ行きたいという需要もあります。これらの需要が増えれば、供給側も競争力を高めるために価格を下げざるを得ません。
  • 技術が進歩すること:現在使用されているロケットやカプセルは、一度使ったら廃棄される使い捨て式です。これではコストパフォーマンスが悪くなります。しかし、近年では再利用可能なロケットやカプセルを開発する動きがあります。例えばスペースX社は自社開発したロケット「ファルコン9」やカプセル「ドラゴン」を何度も打ち上げて回収しています。このような技術革新が進めば、コスト削減や効率化が図れます。
  • 規制が緩和されること:現在でも多くの国では民間人が自由に宇宙へ行くことを制限する法律や規制があります。これらは安全性や国際関係などを考慮したものですが、同時に民間企業や個人の活動を妨げる可能性もあります。しかし、近年では民間主導で新しい市場や産業を創出するために規制緩和する動きもあります。例えばアメリカでは2015年11月、「米国市民および米国企業は天然資源探査および回収活動を目的として小惑星等から資源採取する権利」を認める法律「米国商業探査および回収法」(U.S. Commercial Space Launch Competitiveness Act) が成立しました。このような規制緩和が進めば、民間人も気軽に参加できるような環境が整ってくるでしょう。

以上のように考えれば、10年後~20年後くらいまでには、数百万円から数千万円の範囲で宇宙旅行が可能になるかもしれません。しかし、それでもまだ高額なものです。宇宙旅行をもっと身近なものにするためには、どんな工夫が必要でしょうか?

宇宙旅行の注意点

宇宙旅行は夢のような体験ですが、それだけに注意点も多くあります。宇宙旅行をする前に知っておきたいことをいくつか挙げてみましょう。

  • 宇宙旅行は保険が効きません。万が一事故や病気になった場合、自己責任となります。また、事前に医学的な検査や訓練を受ける必要があります。健康状態や体力に自信がない人は、参加を控えるべきでしょう。
  • 宇宙旅行は環境に影響を与えます。ロケットの打ち上げや着陸は大量の燃料を消費し、温暖化や大気汚染につながります。また、宇宙空間にはスペースデブリと呼ばれる人工物の破片が多く存在し、衝突の危険性や地球への落下の可能性があります。宇宙旅行をする際は、環境への配慮や責任も忘れてはいけません。
  • 宇宙旅行は倫理的な問題もあります。宇宙は誰のものでしょうか?国際法では、宇宙空間や天体は「全人類の共有財産」とされていますが、具体的なルールや規制はまだ不十分です。民間企業が自由に開発や探査を行うことで、利益や権利の争いや資源の乱用などが起こる恐れがあります。宇宙旅行をする際は、倫理的な観点からも考える必要があります。

まとめ

今回は、宇宙旅行の現状と今後の展望、そして注意点についてお伝えしました。2021年は「宇宙旅行元年」と言われるほど、民間人が手軽に宇宙を体験できるようになる未来が見えてきました。しかし、それだけに安全性やコスト、環境や倫理などの課題も多くあります。宇宙旅行は夢ではなく現実になりつつありますが、その夢を叶えるためにはどんな準備や工夫が必要か考えてみましょう。