ガソリン補助金とは、原油価格高騰が生活や経済活動に影響を与えないように、石油元売りに価格上昇分の一部を補助する制度です。2022年1月から始まり、2023年9月末まで実施される予定です。しかし、原油価格の高止まりや環境問題への対応などの課題があり、ガソリン補助金の今後はどうなるのでしょうか。この記事では、ガソリン補助金の仕組みや効果、今後の見通しについて解説します。
ガソリン補助金の仕組みと効果
ガソリン補助金は、全国平均ガソリン価格が1リットル170円以上になった場合、燃料油元売りに1リットルあたり5円を上限として補助金を支給する仕組みです。支給対象となる燃料油は、ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料です。支給開始の基準は、2022年4月28日からは168円程度となり、上限を35円に拡充しました。その後は段階的に下げていき、2023年5月は25円となりました。上限を超過した分への1/2支援は維持しています。
ガソリン補助金の目的は、原油価格高騰がコロナ下からの経済回復の重荷になることを防ぎ、国民生活や経済活動への影響を最小化することです。燃料油元売りが小売価格に補助金分を反映させることで、消費者の負担を低減することが期待されます。また、燃料油価格の急騰を抑制することで、物流や産業活動にも安定感をもたらすことができます。
経済産業省によると、2022年4月28日から2023年5月24日までの間に支給された補助金額は約1兆6,000億円であり、全国平均ガソリン価格は約20円抑制されたと推計されています。また、消費者への還元率は約90%であり、小売業者も補助金分を消費者に還元していることがわかっています。
ガソリン補助金の今後の見通し
政府は2023年6月以降、「補助を段階的に縮減する一方、高騰リスクへの備えを強化する」ことを閣議決定しました。具体的には、補助額25円以下の部分への補助率を引き下げていく一方、補助額25円超の部分に対する補助率を引き上げていきます。9月末には、補助金制度は終了する予定です。ただし、原油価格の動向を見極めながら柔軟に対応するとしています。
ガソリン補助金の縮小や終了は、原油価格の高止まりや環境問題への対応などの課題を背景にしています。原油価格は、コロナ禍で減少した需要が回復するとともに、供給側の調整や地政学的なリスクなどによって上昇傾向にあります。国際エネルギー機関(IEA)は、2023年には1バレルあたり80ドルを超えると予測しています。また、気候変動対策のために、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が求められており、ガソリンなどの石油製品の消費量は減少すると見込まれています。IEAは、2050年までに化石燃料からの脱却を目指すという「ネットゼロシナリオ」を提唱しています。
これらの要因から、ガソリン補助金は一時的な措置であり、長期的には持続可能ではないという見方が強まっています。政府は、ガソリン補助金の縮小や終了に伴って、原油価格高騰への対策として、エネルギー源の多様化や省エネルギー技術の普及促進などを進める方針です。また、消費者や事業者への影響を最小限に抑えるために、価格情報の提供や相談窓口の設置なども行うとしています。
まとめ
ガソリン補助金は、原油価格高騰が生活や経済活動に影響を与えないように、石油元売りに価格上昇分の一部を補助する制度です。2022年1月から始まり、2023年9月末まで実施される予定です。しかし、原油価格の高止まりや環境問題への対応などの課題があり、ガソリン補助金の今後は段階的に縮小し終了する見通しです。政府は、原油価格高騰への対策として、エネルギー源の多様化や省エネルギー技術の普及促進などを進めるとともに、消費者や事業者への影響を最小限に抑えるために、価格情報の提供や相談窓口の設置なども行う方針です。
参考サイト
- 燃料油価格激変緩和補助金|経済産業省 資源エネルギー庁 https://nenryo-gekihenkanwa.jp/