今回は、最近よく耳にする「カーボンニュートラル」という言葉について、詳しく解説していきたいと思います。
カーボンニュートラルとは何か?
カーボンニュートラルとは、温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量を均衡させることを意味します¹。
GHGとは、地球温暖化の原因となるガスの総称で、二酸化炭素(CO2)だけでなく、メタン、一酸化二窒素(N2O)、フロンガスなどが含まれます²。
カーボンニュートラルを実現するためには、まずはGHGの排出量を大幅に削減することが必要です。
しかし、排出量を完全にゼロにすることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ、正味ゼロ(ネットゼロ)を目指します³。
なぜカーボンニュートラルが必要なのか?
カーボンニュートラルが必要な理由は、気候危機を回避するためです。
気候危機とは、気候変動によって私たち人類や全ての生き物にとっての生存基盤が揺るがされる危機的状況のことです。
気候危機を回避するためには、産業革命以降の温度上昇を1.5℃以内に抑えることが必要です。
しかし、現在のままでは、この目標を達成することは困難であり、2100年までに平均気温が3℃以上上昇する可能性が高いとされています。
温度上昇が進むと、豪雨や猛暑、海面上昇や生物多様性の喪失など、さまざまな深刻な影響が予想されます。
これらの影響は、私たちの衣食住や健康、経済や社会にも大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
そうした状況を防ぐためには、今からGHGの排出量を大幅に削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現することが必要です。
どうやってカーボンニュートラルを実現するのか?
カーボンニュートラルを実現するためには、あらゆる主体が取り組む必要があります。
国や自治体だけでなく、企業や市民もそれぞれができることから始めましょう。
具体的には、
- 再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱など)の導入や利用を増やす
- 省エネや節電・節水・節熱などのエネルギー効率化や消費抑制を進める
- 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)など低炭素・非炭素型車両への移行や公共交通機関・自転車・徒歩などエコモビリティの利用促進
- 資源循環型社会(循環経済)への移行や廃棄物削減・リサイクル・再利用・有効活用
- 植林や森林管理など自然資源等を生かした吸収源対策
- CO2回収貯留技術(CCS)やネガティブエミッション技術(DACCS・BECCS)などCO2除去技術
などが挙げられます。
これらの取り組みは、カーボンニュートラルだけでなく、経済成長や社会福祉、国際競争力などにもプラスの効果をもたらす可能性があります。
例えば、
- 再生可能エネルギーは国内資源でありエネルギー安全保障や地域活性化に貢献
- 省エネや節電・節水・節熱は光熱費やランニングコストの削減や快適性向上
- EVやPHEVやFCVは走行時CO2排出量ゼロでありランニングコストも低く静音性も高い
- 資源循環型社会(循環経済)は資源消費量や廃棄物処理費用の削減や新産業創出
- 植林や森林管理はCO2吸収だけでなく防災や景観美化や観光振興
- CO2回収貯留技術(CCS)やネガティブエミッション技術(DACCS・BECCS)はCO2除去だけでなく新産業創出
などです。
まとめ
今回は、「カーボンニュートラル」について、
カーボンニュートラルとは何か?
なぜカーボンニュートラルが必要なのか?
どうやってカーボンニュートラルを実現するのか?
について解説しました。
カーボンニュートラルは、気候危機を回避するために必要な目標です。 しかし、それだけではなく、持続可能な経済社会をつくるためにも重要です。 私たちは、今からカーボンニュートラルに向けて、積極的に行動しましょう。